「もしも」に備える社会保険

人生100年時代といわれていますが、「いつ」「どのような」リスクに遭遇するのかは予測することは不可能です。しかし、事前に備えておけばいざという時に安心できます。当サイトでは、もしもの時に備えるための制度である「社会保険」の重要性や加入条件について詳しくお伝えします。

社会保険料が変わるタイミング

毎年見直される社会保険料の決定と反映のタイミング

社会保険料が決まる時期

社会保険料は、毎年4月~6月の給与を基に決定されます。この時期の給与の平均額を「標準報酬月額」と言い、報酬月額は、1等級から50等級までの等級に分けられます(厚生年金保険は1等級から32等級まで)。等級が高いほど報酬月額も高くなり、それに伴い社会保険料も高くなるのが特徴です。たとえば4月~6月の給与の平均が20万円だった場合、保険料額表では報酬月額19.5万~21万の区分に該当します。このように該当する等級の報酬月額が適用され、その報酬月額に基づいて社会保険料が計算されるのです。この社会保険料には、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料(40歳以上の場合)が含まれています。
社会保険料は、所得税とは別のものです。所得税は国に納める税金ですが、社会保険料は、病気やケガ、出産、介護、死亡といった場合に備えるための保険料です。給与明細を見ると、社会保険料と所得税がそれぞれ記載されているので、確認してみてください。毎月の給与から天引きされる金額には、これらの社会保険料と所得税が含まれています。

実際に社会保険料が変わるタイミング

4月~6月にかけての給与の平均額が該当する区分「標準報酬額」が決定したのち、実際に社会保険料が変わるのはその年の9月のタイミングです。その年の9月から翌年の8月まで、標準報酬額に基づく金額が社会保険料として差し引かれます。このタイミングを定時決定といいます。定時決定とは、「毎年1度必ず行う標準報酬月額の見直し」のことです。
もしも4月から6月までの間に給与が増えた場合、計算された標準報酬月額も上がり、9月からは社会保険料も上がります。逆に4月から6月までの給与が減った場合は標準報酬月額も下がり、9月からは社会保険料も下がります。このように、社会保険料は毎年見直され、変動する可能性があることを覚えておきましょう。

昇給のタイミングとの関係

従業員の評価制度として、昇給の機会が設けられている職場も多いです。その昇給も、社会保険料に大きく影響します。前述のとおり、4月~6月の給与が高くなるとそれに応じて社会保険料も高くなります。7月より前に昇給した場合は、この4月~6月の間に昇給後の高い給与が適用されます。そのため、定時決定によって計算される社会保険料も高くなり、結果として9月以降に給与から天引きされる金額が増えることになるのです。
一方、7月に昇給した場合は、その年の定時決定には影響しません。つまり、7月に昇給した場合は社会保険料のアップが1年後まで先送りされるということです。社会保険料は会社も負担しているため、会社にとっても従業員にとっても、7月昇給にはメリットがあるといえます。

今の職場は大丈夫?